西日本高速道路エンジニアリング九州

VR動画を活用した、インターンシップの課題解決。

危険な現場+コロナ禍
=仕事体験のピンチ!
背景

学生にとってインターンシップの重要度が増し続ける今、リアルな仕事体験の機会を提供することは企業様にとって大きな課題の1つではないでしょうか。しかし、「仕事のリアルを見せたくても、現場に規制があって見せられない」といったジレンマを抱えるご担当者の声もよく耳にします。

今回ご紹介する西日本高速道路エンジニアリング九州様もそうしたお悩みを抱えていました。高速道路の建設や保全を担う企業様なので、その仕事現場は車がビュンビュン走り抜けるすぐ隣といった具合で、学生に体験させるには危険なため、かなり限定的な仕事シーンしか体験させられなかったそうです。しかも、特殊な業種であるだけに、言葉や写真で説明しただけでは具体的にどんな仕事をするのかが伝わりません。この状況にさらに追い討ちをかけたのが、コロナ禍。そもそも人を集めて仕事体験をしてもらうこと自体が難しくなってしまった状況が決定打となり、マイナビチームとともに新しい仕事体験の在り方をつくり出す挑戦が始まりました。

VR技術で、仕事現場を
360°リアル再現。
ソリューション

そこでマイナビチームが提案したのは、VR動画を活用したヴァーチャル仕事体験。学生に高性能ゴーグルを使って360°VRの動画を視聴してもらい、実際に仕事現場にいるかのような臨場感を味わってもらおうというアイデアです。

特殊な機械を積んだオリジナル車両を使って高速道路の点検を行うなど、業務・職場ごとに3パターンの動画を制作し、仕事の違いやつながりを理解させる仕組みを作りました。今回は撮影用に現場風景を作り込むのではなく、実際の仕事現場に撮影クルーが入らせてもらうことで、360°のリアルな雰囲気を収録。動画の進行役はインターンご担当者様にお任せし、さらに専門用語が入る業務の説明などはより分かりやすく伝えるためにナレーションで補足を入れるなどの工夫をしています。

動画を視聴するためのゴーグルも最新の高性能機種を採用。コロナ対策として使い捨ての簡易ゴーグルも検討しましたが、リアリティにこだわる上ではゴーグルの機能にも妥協はできません。そこで「ゴーグル用マスク」を使うことで、コロナ対策とクオリティの両立に成功しました。また、ゴーグルにはコントローラーがついており、手を動かすような感覚でコントロールができます。

 

「高速道路調査設計業務 現場編」の映像。傍らに車が走り抜ける中、撮影を行った
今回使用したVRゴーグル。グローブも用意し、一部の映像では手を動かす感覚も

「VRって難しそう」な
先入観を覆す実現性。

実際の取り組み

VRと聞くと、「作るのも運用も大変そう」「かなりコストがかかるのでは?」と躊躇してしまうかもしれませんが、実はそんなことはありません。撮影機材はVR用の360°カメラですが、通常の動画撮影と比べても複雑というわけではなく、撮影クルーも最小限の人数で対応可能です。また、VR動画は撮影後の編集作業が少ないので、この部分でコストの圧縮ができるため、通常の動画制作とそこまで変わらない金額で制作ができます。

ただ、編集作業が少ないということは、撮影の際にシーンの途中でカットしたりつなげたりといった加工が難しいということでもあります。編集しすぎると、見ている人が酔ってしまうのです。つまり、撮影でNGを出さないよう事前に準備をしておく必要があり、そこが少し大変なポイントです。今回も事前に説明用のセリフを一言一句まで決めておき、撮影対象の方に覚えていただくなどの対応をしました。また、360°の映像となるため、通常の動画撮影のようにカメラに映らない場所からディレクターが撮影対象の方に指示を送ることができません。そのため、セリフ以外の流れについても事前にしっかりと打ち合わせをしておく必要があります。今回も入念に事前の打ち合わせを行いし、進行役や撮影対象者の方々は見事にほぼNGなしで進めてくださいました。

 
 

入念な打ち合わせの上でインターン担当者に動画の進行役を務めていただいた。その結果、ほぼNG無しのスムーズな進行に

 
 
 

圧倒的な没入感のなか、
仕事への理解促進に成功!

得られた成果

こうして完成したVR動画は学生から好評を得ています。「普通に仕事の説明を聞くと長く感じるけれど、VRだと15分間があっという間で、楽しく仕事内容を理解できた」といった嬉しい感想も。VRゴーグルを装着するという非日常的な体験自体も、学生にとっては新鮮で面白いのかもしれません。

西日本高速道路エンジニアリング九州様の社内でも「見せにくかった仕事のリアルを伝えられている」と喜びの声をいただいています。今後は動画をシリーズ化して、ほかの業務を紹介していく計画もあり、インターンシップだけでなく企業説明会や新人研修など、幅広いシーンで活用できるツールになりそうです。また、これまではインターンシップを開催するたびに現場の技術者の方と調整してスケジュールを確保してもらうことに苦労していたそうですが、動画を使えばそうした手間も省くことができて、業務効率化の面でも成果があったとうかがっています。

VRという最新テクノロジー・デバイスを活用した今回の例は、学生にも企業様にも喜ばれるソリューションとなりました。「ピンチをチャンスに変える」姿勢を忘れなければ、いつだって活路を見出すことができるのかもしれません。

CLIENT
西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社

NEXCO西日本グループの一員として、高速道路の建設やメンテナンスを通じて九州の高速道路の発展に大きく貢献。高速道路や関連する施設・設備の点検や施工管理を行う技術職のインターンシップに以前から課題を抱えており、マイナビチームとともに新たなソリューションづくりに乗り出した。

Director's Comment

西日本高速道路エンジニアリング九州様とマイナビは以前からお付き合いがあり、VRの話も話題には上っていたものの、実現には至っていませんでした。そんななかでコロナ禍が背中を押して実現するきっかけとなりましたが、動画に出演してくれたご担当者様には当日の台詞回しや進行に大変なご尽力をいただき、とても感謝しています。今回のVR動画を制作して、改めてこのソリューションが現場系の仕事紹介にぴったりだと再認識しました。同じような課題を抱える企業様にもぜひおすすめしたいです。

Directed by


担当ディレクター
徐 剛
テレビ番組のフロアディレクターを経て、2017年にマイナビに入社。台本づくりや映像収録の経験を生かし、マイナビでも動画案件を得意としている。制作物のクオリティを高めるためにもパートナーであるクリエイターとの関係づくりを重視。趣味はブラジリアン柔術で、仕事と並行して試合に向けた練習とイメージトレーニングに励んでいる。