亀田製菓株式会社

米菓メーカーから、秘めた可能性と野心のある企業へ。
その変化の時を丁寧に寄り添って。

「亀田の柿の種」「ハッピーターン」など数々のロングセラー商品を生み出してきた、国内大手の米菓メーカーである亀田製菓様。一貫として日本のソウルフードである“お米”を素材とした菓子づくりを行い、その技術や研究を活かして慢性腎臓病の方向けの低たんぱく質米飯を開発するなど、「食品」の領域へ事業が広がっています。また、年々お米への注目が高まる海外への展開など、米菓メーカーから“お米”の可能性を広げ世界のさまざまな課題を解決する企業へと発展していく変革期に、挑戦人材の獲得に向けて新卒サイトの提案を行いました。今回はその制作の裏側を、制作を担当した株式会社カラビナの戸部様と、担当ディレクターの蓮沼に語ってもらいました。

  • クリエイティブディレクター/コピーライター

    戸部 二実

    心理学科卒。91年 株式会社リクルート入社。ベンチャーから大手企業までの企業広告、ブランディングに関わる。2000年にクリエイティブディレクター/コピーライターとして独立。2012年に株式会社カラビナを立ち上げる。TCC会員。

  • ディレクター

    蓮沼 梢

    前職の印刷会社では制作進行を担当。マイナビ入社後は東京で新聞社や旅行代理店、メーカーなどのクライアントを担当。新潟へ異動後、営業を経て現在の制作業務のほか合同説明会やWEBセミナーの企画運営に携わる。


大きな事業変革期に、挑戦できる人材を。

蓮沼:亀田製菓様は、「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」などで知られている会社です。製菓メーカーなので学生からの人気はあり、地元新潟では名門企業としても知られています。そんな中、採用サイトのリニューアルのご相談をいただいたのが今回の取り組みのスタートでした。

戸部:当初、お客様が課題として捉えていたことはどんなことでしたか?

蓮沼:第一志望で応募する学生や積極的な学生が減っている点でした。そのため、デザインはもちろんですが、「なぜ亀田製菓なのか?」という選社理由を明確化する必要があると思い、採用ブランディングの実績が豊富なカラビナの戸部さんに制作パートナーをお願いしたいと思ったんです。

戸部:ありがとうございます。まず、私たちが立てた仮説は、食品・製菓メーカーの大半が首都圏や大阪など都市部にある中、新潟という立地がハンデになっていないか。また、製菓メーカーのほとんどがチョコレートやクッキーなどのいわゆる洋菓子。その中で「米菓」は、高齢者向けの商品に見えてしまい若者からは遠く見えてしまいそう。しかし、知名度があるため学生からの“とりあえず応募”が多いのではないかと蓮沼さんと話し合いました。

蓮沼:同時に、私の方で亀田製菓様について調べる中で、米菓だけでなく、培ってきた研究や技術を活かした食品事業や、お米由来のグルテンフリースナックをグローバルに展開していくなど、大きな事業変革期を迎えていると感じました。ちょうどインド出身のジュネジャ レカ ラジュ氏が代表取締役CEOに就任されたタイミングで、今後、この動きが加速していくのではないかと感じました。

戸部:蓮沼さんの洞察から、米菓だけではない可能性を採用サイトで伝えることで、他の食品メーカーにない成長経験や伸び代を感じさせ、変革期に能動的に挑戦するこれからの活躍人材にフィットしそうだと考えました。

KAMEDA SEIKA RECRUITING 2024 よりトップメッセージ


「変わりたい」気持ちに寄り添って。

戸部:とはいえ、「脱米菓メーカー」をどこまでアピールするか、提案まで揺らぎましたよね。

蓮沼:そうですね。人事担当の方々と提案前に、私たちが立てた活躍人材の仮説や企業の目指す姿をヒアリングを兼ねてすり合わせをさせていただいた時に、既存社員と変革期に必要とする社員像の間で悩まれていると感じて。なので、提案では食品やグローバルへの広がりを強く訴求する案と、亀田製菓様の商品の持つやわらかさや遊び心といった「らしさ」を残しながら企業の可能性を伝える案の2方向でカラビナさんに考えていただきました。

戸部:蓮沼さんから2つの方向があるねという話をいただき、私も同じように感じました。また、経営変革期である亀田製菓様に、あえて2つの方向性をご提案することでお客様自身にも考えていただける。お客様自身が今回は、どのような採用をされたいのかを考えていただくきっかけになると良いと思いました。やはり、お客様の気持ちが乗るものでないと、よい採用にならないのです。

蓮沼:その結果、これまでの亀田製菓さんらしい、おだやかであたたかな部分をを残しながら、変革期であること、未来への可能性を伝える案の方を選んでいただきました。

戸部:キャッチは、亀田製菓の殻を破る人にしよう。亀田の柿の種など、お客様の製品をパリッと割って新しい感じを出そうというところまでは見えていたんですが、そこから提案までデザインは細かいところも含めて何度も話し合いましたね。

蓮沼:亀田製菓様の商品サイトやパッケージの一つひとつを取っても、エンタメ性やおもてなしがあるんですよね。そういった魅力とともに、企業のDNAである「誠実さ」も感じられるイメージをカラビナさんと一緒に作っていきました。

戸部:デザインの細かい部分は、各商品のブランドの担当の方にも意見をいただきながら整えていって。採用メッセージの「来たれ、亀田の殻を破るひと。」は振り返ってみると、今までの殻を破る宣言が、お客様の温度感にフィットしていたと感じます。

蓮沼:採用サイトの公開後、インターンシップのアンケートで「学生同士レベルの高いワークができて良かった」というコメントがあるなど、積極的で今までとは一味違ったタイプの学生も増えているようです。

戸部:それは嬉しいですね。

変革期であることを、亀田製菓らしく伝える採用メッセージ

 


オンラインが叶える、採用課題に適したパートナー選び。

蓮沼:実際に制作が始まって、東京のカラビナさんと、新潟の亀田製菓様とマイナビとやり取りをしていていかがでしたか?

戸部:最近は、打合せや取材はオンラインも多いので、スムーズにやり取りできたと思います。

蓮沼:そうですね。海外に接点がある社員の方の座談会ページでは、タイに駐在中の社員の方にも取材にご参加いただくなど、移動時間がないから国内外問わず取材できるのがオンラインのメリットですよね。新潟本社と東京オフィスの撮影にはカラビナさんにも立ち会っていただいて、「やっと会えたー!」と喜び合ったり。

戸部:そうですね。取材はオンラインでも、撮影の時に、企業の風土を感じることはできますからね。

蓮沼:地方の企業だから地元の制作会社にお願いをするのではなく、オンラインが当たり前になった今だからこそ、お客様の抱える課題に応えられるパートナーと組めるのは良いことですよね。

タイ駐在員にもオンラインで取材


首都圏から離れた立地が育んだ、人と固有性。

戸部:何百社と採用ブランディングに携わらせていただきましたが、取材を通じて強く感じたのは、亀田製菓様は優秀な方がいきいきと働いている会社なんですよね。どの取材も盛り上がり、そして興味深かったです。それは商品が有名だからではなく、社員の皆さんが取り組んでいる内容の濃さなんですよね。

蓮沼:そうですね。私も取材を同席していて、とても興味深いお話が多かったです。社内の雰囲気も、新潟本社、東京オフィスもそれぞれ良いですし、ブランドがあるけれどとても謙虚で、ある意味ユニークな企業ですよね。

戸部:そうなんです。「それはなぜだろう?」と考えた時に、最初は採用課題でネックだと感じていた新潟という立地が関係していると思います。首都圏にあるメーカーの場合、他のメーカーが見える分、「こっちの方が、待遇が良い」など本質でないところで揺らいでしまう部分がありそうです。

蓮沼:首都圏から程よく距離があるから、良い意味で場所に守られてきたということですね。

戸部:そうですね。だから、亀田製菓様は、優秀な方が明るくのびのびと働きやすい。もしかしたら、首都圏メーカーの場合、自分たちらしさを失い、均一的になってしまう可能性もあるかもしれない。

蓮沼:首都圏はメーカーが集中している分、逆に周りが見えてしまって均一化してしまうことはありそうですね。

戸部:また、「米どころ」を活かした事業という点にも亀田製菓様の経営センスを感じます。グローバルは固有性がないと勝てないので、グルテンフリースナックの強化と聞いて、とても興味深かったんですよね。そういった、お米を使っていろんな事業に挑戦できるオンリーワンの魅力をコピーやデザインで伝えられたのが、今まで来なかったタイプの学生の応募に繋がっているのかなと思います。


「組織がどういう状態か」を見極める視点。

蓮沼:今回の制作で一番難しくもあり、ポイントだったのが「お客様の温度感のフィット」だったと思っています。でき上がった原稿やデザインを見ながら「攻め過ぎていないか?」など、温度感のバランスをカラビナさんとは相談し合いながら進めていきました。

戸部:蓮沼さんはお客様の組織の中で何が起きているかを大事にされていたので、対話をしていてやりがいを感じました。どんなによいものを作っても、お客様にフィットしていて、自身で運営できないと価値のあるものではなくなってしまうんですよね。

蓮沼:その通りだと思います。お客様が置いてきぼりの制作物を見ると、悲しくなりますよね。

戸部:「お客様に今一番、何が合うか?」を戦略的に見た上で装着できることが、これから求められてくることだと思いますね。最近の仕事で難しいところは、一過性の「いいね」では足りないということ。昔、採用ブランディングの手法でよくあった一発物の広告の場合は、興味喚起型で驚きがあれば成立していたんですよね。しかし、サイトのような内容が深くなるものの場合は、それが難しい。お客様の経営戦略や変化のスピードに合わせてチューニングをしなくてはいけないですよね。

蓮沼:そうですね。今回、戸部さんと一緒に制作する中で感じたのは、ものづくりだけではない視点で考えられていることです。採用だけでなく経営戦略など、いろんな角度でどこを攻めて伝えるのか、お客様と対話をしながらジャッジをされていて。その企業の在り方まで見据えた提案が、これから先求められてくるのではないかと思います。

CLIENT
亀田製菓株式会社

1946年に「生活に喜びと潤いを届けたい」という想いから創業者が水飴づくりを始め、1950年頃から「亀田の柿の種」を販売。1957年に亀田製菓株式会社を設立。「ソフトサラダ」「ハイハイン」「ハッピーターン」など大ヒット商品を生み出し続け、国内米菓トップシェア企業に。積み重ねてきた「米」の技術とノウハウを活かし、植物由来の健康食品なども手掛けている。北米やアジアを拠点に、世界中に米菓を広げるべくグローバル展開にも力を入れている。

PARTNER
株式会社カラビナ

2012年創立。ブランディングやインナーブランディングをはじめ、企業ビジョンや行動指針の策定、ネーミング、キャッチコピー、ロゴデザインなどを通じてお客様・企業間・企業内といったあらゆるコミュニケーションをクリエイティブでサポートしている。

 

WORKS「亀田製菓」はこちら